罪と罰
川瀬杏香

死んでしまいたいと
こころの
奥の奥の奥のほうで
思っているひとに限って
止める隙など与えるどころか
ひと知れず
死んでしまうのに
殺してくれなんて以ての外
ひとに対して死という
恐ろしい忌まわしい
要求をしておきながら
飯を食って風呂に入り
テレビを観て笑っている
こころの
奥の奥の奥のほうで
一瞬
抹殺されたということにも
気づかずに
一瞬であれ抹殺してしまった
という罪を罰しながら
生きているということにも
気づかずに

2014/10/22


自由詩 罪と罰 Copyright 川瀬杏香 2015-02-05 23:24:59
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