うまれかわ/即興ゴルコンダ(仮)投稿.11
こうだたけみ

きいろいバナナの皮を剥く
「ねえ、ぼくたちうまれかわ「絶対にイヤ」
どこですれ違ってしまったのって
手の内も明かさぬうちに
まだ夜も明かさぬうちに

零時の時報とともに食パンを
四つに切ったところでそれ
ショートケーキじゃないじゃない
トースターに置き去りの
黒こげ三角柱のすまし顔
きみには二重丸をあげましょう
きれいなセイロン吐いたから

熱湯に放り込んだ生ラーメンみたい
とっちらかった思考をちり取りに
集めては捨てている
まだ食べられるのにもったいないね
が、山積みになって埋もれてく

もったいないからとわたし
ずいぶん長居しすぎたようです
大仰に振り返るなんてわたし
柄にもないことをした
誰もが回れ右して帰るなら
ここにはちり一つさえ残らない
なのにわずかばかりの悲しみは、

そうだ木の棒で撲殺される夢が
いちばんいい夢なんだって
生まれ変わるって意味だって
誰が言っていたんだっけ
バナナの皮で滑って転んで死んだほうが
いくらか笑えるのにね

可笑しいなら声に出して笑ってください
しかめっ面がいいだなんて誰の受け売り
露店のたたき売りを買うのなら
バナナだけにしておいたほうがいい


自由詩 うまれかわ/即興ゴルコンダ(仮)投稿.11 Copyright こうだたけみ 2015-02-05 22:27:34
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