give‐and‐take
衣 ミコ


盗まれた
この小さな庭に差し込む光の
わずかなパンの欠片を啄む小鳥の
瞳に反射するわたしの
明滅を繰り返す魂の
内側へと続く戸口が
目の前で閉まってしまう夢と

裏返った
あの浅いどぶ河に湧き上がる泡の
かすかな清い空気に群がる小魚の
鱗に反射するあなたの
明滅を繰り返す魂の
外側へと続く戸口が
目の前で閉まってしまう悪夢を

互いにとってのサクリファイスを
そっと交換する
目覚めの朝に
ひとつの宇宙は完成される



自由詩 give‐and‐take Copyright 衣 ミコ 2015-02-05 08:18:45
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