ピカッとイチゴ
藤鈴呼
漸く苺を手にしたスーパーで 春を感じた休日
世間は平日だけど 二人 たまたま 寄り道出来る
今日が休日 当たり前
世間とのズレ 感じながらも
すっぱい苺には コンデンスミルクを かけるように
ちょっと とろみをつけたなら
忘れられるね ズレた秒針
からくり時計が どれだけ適当に 時を 刻んでも
秒針が 狂って 笑って 踊っても
北極点は 変わらないのだから 大丈夫ですと
お月さまが 微笑んで
お星さまは 惑うのよ
だって ピカピカと光る お月さまは
一人の女神
どんな三日月で 切っ先が 鋭くなったって
何時かは 満月に 戻るんだもの
だから 大丈夫
心していてねだなんて
もう一度 にっこりと
唇が OKの文字を 描くから
もっと もっと 大丈夫だねと
そう思う
そう 思えるの
魔法の人匙 コンデンスミルクが 見当たらなくて
牛乳と グラニュー糖で 誤魔化そうと している夜
駄目ね 濃厚さが ちょっと 足りないの
気持ちが おしくらまんじゅうしなけりゃ
美味しさは 取り出せないのよって 舌を出す
惜しい暗い饅頭じゃあ 有りませんから
ぬたっと のぺっとした 白い餡子なんて
目の前に出さないでねえ
シャキッとピカッとイチゴで
素敵な春を 演出しましょうよ
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