銀河
大島武士

終わったと思っていたことが
何度でも返ってくる

時代がふいに変わっていって
時間切れのベルが鳴ったから
時の中に置き去りにして
綺麗な空に吸い込まれた
終わったと思っていたことが
何度でも返ってくる

二十世紀に唱えられた
沢山の机上の空論や
若かりし日に書き留めていた
言葉たちの香りをかいで

海はないけれど
ここは港町で
小さなお祭りが
今でも毎夜繰り返されて
遠い所と交信している
星の彼方と交信している
祭囃子に耳を凝らしては
星の海の中を泳いでいる

同じことを繰り返すけれど
前と同じなのかはわからない
前より深みに潜っているのか
浅瀬で泳いでいるのか
ただ波のリズムは前とは違って

駅から駅へと電車は揺られて
景色はゆっくり変わっていって
願い事も変わっていくけれど
誰もがきっと
似たことばかりを願っていたんだ

終わったと思っていたことが
何度でも返ってくるから
時間切れのベルを止めて
目覚まし時計を放り出して
綺麗な空へと放り出して
流れ星に願いをかけよう

時代がふいに変わっていって
前とは違う浅瀬を泳いで
前にどこかで見たような
見たことのない貝殻を拾い上げたなら

終わったと思っていたことが
何度でも返ってくる



自由詩 銀河 Copyright 大島武士 2015-02-03 09:54:31
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