バニーガールの二等辺三角形
阿ト理恵
ぼくたちはうまくいっていた。春のにおいするような冬の休日のあったかい午後には中庭のハンモックにゆられ、ひなたぼっこしたり、ウクレレで大橋トリオの歌をうたったり、しゃかしゃかふった缶ビールの泡をかけあったり、ほっぺにキスしあう、ふたつの三角定規のうち頂角の鋭利な方をきみはマシンガンみたいにかまえて(マシンガンは連打音なのに)バキュンってかわいい単音を口を尖らせてしたりするから、ぼくは死んだふり、どや顔のきみ、にらめっこして負けるのはきみで、ふてくされて、きみはそうゆうのすぐあきて、ウクレレも大きな二等辺三角形も、ぽいする。ついでにぼくも、ほんとの春がくる前にぽいされた。ぼん、きゅっ、ぼんっみたいなダイナマイトなバディが好きだったから、バニーガールが絶対似合わないきみになんで恋したのかが、今でもよくわからないんだけど、ぼくがバニーボーイになればよかったのかなあって思ったりもしてるんだ。それに、正三角形の方をピストルに見立てたら、きみはほんとに心臓がとまっていたかもしれないって、そして、きみは案外、ぼくにうたれて死にたかったのかもしれないと。そういえば、ときどき遠い目をしていたね、きみは