こわがり
衣 ミコ

翻弄されたくないのです。

嵐の夜に
波に飲み込まれた流木は
人の様相を呈していました
唯一の導きである昴さえ
雲に隠れて
あの日花の種は暗く
水底に沈み込み
死んだのでした
溺れながら切願した言葉、

翻弄されたくないのです。

一番愛から遠い場所は
一番火からも遠い
こんな極地ではきっと
花は養分だけを大地に吸われ
枯れてしまうのでしょう
だから
その身自ら投げ出して

水底にまで届く
雨は
冷たく種を刺します


自由詩 こわがり Copyright 衣 ミコ 2015-02-02 05:16:48
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