サンジュウシ
衣 ミコ

頭に計算機を詰め込んで
公園でチャンバラごっこをする
ヒーローたちは
世界を救うはずもなく
砂の城を蹴り崩した跡に
旗を突き立て
誇らしげに胸を張る

「ひとりはみんなの為に、みんなはひとりの為に」

天に輝く剣を掲げて
声高に叫ぶ台詞はすべて
緻密に計算された芝居の脚本通り
ベンチに座る観客の拍手は
寸分の狂いもない三拍子

見てみろ
あれに天啓はあるか
問うた答えに辿り着いた瞬間が
崩壊の始まり



自由詩 サンジュウシ Copyright 衣 ミコ 2015-02-01 06:06:44
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