雪の家
umineko

一面の雪の朝
私は
兄とかまくらを作る
田んぼ中の
雪を集めて

できました
私たちの秘密基地
しゃがんで入れば十分余裕
通学路からも
はっきり見える
不格好な雪の家

それはそのまま何日も
田んぼの中に鎮座して
私は
学校から帰るとすぐに
雪の家の修理にかかる

薄くなった壁に
新しい雪をあて
つぎはぎだらけの
雪の家

だが
太陽は冷酷だ
ついにその日はやってくる
天井が
丸く崩れ
次から次へとはがれ落ち

必死の修理も届かない
穴から青空がのぞく

兄が
「あーあ」と言う
私も
「あーあ」と言う

やがて
私たちは目配せをして
勢いよく立ち上がる

奇声を上げながら
大事なものを壊すのだ
空が
ぐるりぐるりと回り

友情とか
宗教とか
きっと同じ仕組みだと

私は
不意に思い出す

世界は
雪の家なのだ、

 
 
 


自由詩 雪の家 Copyright umineko 2015-02-01 05:44:59
notebook Home 戻る