ふっ、しあわせ
nonya


ふしあわせは
雨のように降ってくる
不穏な空から予定通りに
稲妻をともなって突然に

傘も持たずに
ぼんやり歩いている時に限って
ふしあわせ予報ははずれて
私の思考と良心はずぶ濡れになる

まあそんなものだ

しあわせは
雑草のように発芽する
今日でも昨日でも明日でも
ここであそこで至る所で

あまりにもさりげなく
見慣れた風景に溶け込んでいるから
雨上がりの虹に見惚れて
うっかり踏みにじったりすることもある

まあそんなものだ

今朝
玄関のタマツゲの下で
しあわせが蕾をつけているのを
久しぶりに見つけた

自分の何処かの結び目が解けて
ふっ、と
温かい色の吐息が漏れて
世界が少しだけ懐かしく潤んだけれど

それも束の間
握力が低下した私は
そんなことはすぐに忘れて
傘も持たずに
また曇り空の下へ歩き出していた

まあそんなものだ




自由詩 ふっ、しあわせ Copyright nonya 2015-01-31 10:19:32
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