夢見るキャベツ
そらの珊瑚
外葉をめくったら
白い小さな亀がい
て、脱皮直後の未
防備ゆえのその純
真な甲羅にしばし
じいっと魅入る、
命あるものはみな
平等にそんな生ま
れたてがあった。
キャベツ、それは
花に似た天体。け
れども花には成れ
ない、だからひと
すじなわではいか
ず、ゆえに平和が
ていねいにたたま
れたとてもすてき
なところ。
knock、knock、誰
かいますか?
外葉になった内葉
、風邪引いてませ
んか?
幾億枚かさなりあ
うことで生まれる
軋轢や愛しさなど
。
人が名づけたユー
トピアは、ことご
とく破綻して(し
つつあっても)今
夜わたしは、固い
芯までも柔らかく
煮込む超深鍋でロ
ールキャベツとい
うファンタジーを
作っているし、夢
見ることは誰にも
奪えやしない。
冬のコトコト。