パンティラタウン
竹森

セメント
トマトを纏う
タウン
マウント
ビルボード
満月の痙攣

満月が痙攣している。さまざまな会社のさまざまな文庫本が
君の名前を模した海岸線。
私がzipをダウンロードしたばかりに。

鉛筆にも喉にもこれ以上削る部分が残されていないので唇を削る。ざらざらとした灰色のコンクリートの壁面に押し当てて唇を削るととても痛い。また、鼻先を押し当ててそれを消しゴムの代わりにする。最後にはコンクリートの平らな壁面の前に、平らな私の顔が向けられている。風がその間を通り過ぎていく。人間が私を恐れて私の背後の遠く反対の壁面に手を添えて足早にしかし静かに歩み去っていく。その足音が風のそれよりも遥かに小さい。私が壁面に書いた文字「あの森の奥まで急いで逃げろ!」。満月の痙攣を浜辺で海が波として請け負っているという情報が二つの耳たぶにイヤリング式にぶら下がっている。それを見ても、いいか、決して焦るな。

パンチラを許さない微粒子の微細な振動。
どうかあなたのパンチラを許してやって欲しい。
あなたのその寛容な心であなたのパンチラを許してやって欲しい。
私はあなたのパンチラを見とどける。
私の購入した縞パンとあなたのふとももで奏でるパンチラという共同作業。
誰にも明かしていない私たちの関係をそれと知らずニヤリとする馬鹿どもを見て私たちはそれ以上に内心でニヤリとする。
夜になればチョコレートパンツをあなたに穿かせて私がそれを舐めて溶かす。
私たちはパンチラを許そう。言葉ではなく行動で表そう。
あなたはパンツの上に短いけど短すぎないスカートを穿こう。
私は丁寧にスカートを捲ろう。蜜柑の皮を剥くよりも丁寧に。捲った先に白い糸切れが残らないように。

パンチラという言葉に飽きて来たので、パンティラとも言ってみる。
見た事があると誰もが言うが実証はされていないパンティラタウン。
そこには男ばかりが住んでいる。彼らの誰もがパンティラの存在を何よりも身近に感じ、
四六時中きょろきょろと辺りを見回しているのだがどこにもパンティラを見つける事ができない。
パンティラとは一体何なのか。男どもの憧れの象徴。
哀しい事に、外部の誰にも見つけられないこの街の名称がパンティラタウンであることを
街の住人は誰ひとり知らない。


自由詩 パンティラタウン Copyright 竹森 2015-01-25 19:18:50
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