えーえん
竹森

空から
炎の羽根が
撒き散らされ
地上は荒野に成り果て
雲は蒸発してしまった
大地の肺腑が開いた亀裂は
地核を刺し
噴き上げる熱気が
空と大地の狭間を押し広げていく

痩せこけたサボテンに
喰らいつき
逆に貫かれたのだろう
ハイエナのミイラが
その四肢を宙に浮かせている
半月を満たす白竜の鱗の煌めきや
星々の発光を
抑えるものはもう何一つなくて
夜空が今や潤いを独占している

獲物と接吻を交わす灼眼
死骸の山を蹴散らす爪と牙
松の葉を敷き詰めた様な毛並み
王国の対義語が彼の名称
強靭な脚力が岩塊の大地を更に押し固めていく
世界樹が他のどんな生命の寿命よりも長く
褐色の大地と共に
燃え繋いでいる

激しく波打つマグマの海原
「荒野の中心点」と呼ばれる岩礁の上で
喉を焼かれたセイレーンが指先で
燃え盛る炎を掬い上げては 夜空に放っている
全知に対抗する為の夢想の泉は尽きる事を知らない
炎の衣を剥がされた光線は星々を繋ぎ合わせ
名も無き星座を次々と形成しては 神々を誘惑し
夜空ごと堕ちてくる その時を
大地の万象が 今か今かと渇望している


自由詩 えーえん Copyright 竹森 2015-01-25 01:02:57
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