お見送り。
梓ゆい

はらはらと舞うぼたん雪は

遺された女たちを労わるように包み込む。

「パーッパッパー。」と高らかになる霊柩車のクラクション。

それは多分

物言わぬ父が告げたさようなら。

白く濁る空で覆い隠した物は

眠るように死んだ父の心か?

それとも。

無念がこみ上げて泣く父の姿か?

何かを訴えかけるかの様に舞うぼたん雪。

火葬場へと向かう車の列は

父の身体を守るかのように

長い長い道を

無言で付いてゆく・・・・。


自由詩 お見送り。 Copyright 梓ゆい 2015-01-23 22:44:41
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