ないんだから
瑞海
髪を切ったの
なんだか鬱陶しくなってしまって
長い方が良いよ、と
言ってくれたあなたのこと
もう覚えてないの
あんなに嬉しかったのに、ね
でも
いつかの香りが鼻を抜けても
泣かなくなったよ
いつかの歌が街を流れても
口づさまなくなったよ
成長したよ
月が照らす涙が
海に流れてゆくと
何もなかったように笑えるの
泣き虫じゃないし
寂しくなんかないんだから
自分で立てるもの
私は強いの
形のないものなんて
信じられないんだから
もうここには
あなたの私 私のあなたは
いないんだから
でも寂しくなんかないんだから
ないんだから