寒月
草野大悟2

しんという音身にまとい天空とダム湖に浮かぶ寒月ふたつ

うららかな小春日和に鬼が棲むおれとあなたと隠れた月に

手術から九年目の冬いまめぐりきてきみは喋らず食べられもせず

不幸など笑ってしまえどこにでも誰にでもくる寒月ひとつ

太陽をさがしもとめる寒月のうしろすがたの青くとけゆく


短歌 寒月 Copyright 草野大悟2 2015-01-19 20:08:56
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