2015鑑賞映画採点及びひとことふたこと①(1/1〜1/18)
平瀬たかのり
今年から時間的、気持ち的に余裕があるときにこんな感じでまとめてこちらにて。
公開年、監督などは割愛させていただきます。
なるべくネタバレはないようにいたしますが、その限りではないことも。
鑑賞作は基本的に「日本映画専門チャンネル」及び「イマジカBS」で放送されたものになっております。
採点は作品力(5点)・余韻力(3点)・再鑑賞魅力(2点)を合わせた結果という形をとっております。
○バンクーバーの朝日(劇場鑑賞)6.5
○そして父になる 3.5
○クヒオ大佐 7
○白雪姫と鏡の女王 7.5
○ワンダとダイヤと優しい奴ら 7
○シックスティナイン 5.5
○どろろ 5.5
○メゾン・ド・ヒミコ 5.5
○スローなブギにしてくれ 4.5
○ベスト・キッド 6.5
○憑神 5
○チ・ン・ピ・ラ 7.5
○スパルタカス 8
○マネー・ピット 6
○太陽がいっぱい 8.5
○ブラス! 7.5
○出所祝い 5.5
○ベスト・キッド(リメイクver) 6.5
○バンクーバーの朝日
「舟を編む」観た時も思ったんだけど、これ石井裕也監督が撮らなきゃならない作品だったかなあ。早くも巨匠チックに落ち着きすぎちゃってる気がする。まだまだお若いんだから、自身のオリジナルの脚本で暴れ回っていいと思う。
○そして父になる
カンヌで審査員特別賞取って、国内の評価も高いこの作品ですが、ワタシ的には全然ダメ。実子を引き取った後、学校どうしたのかという部分を全く描いていないのは、お受験の場面から始まる作品だけに、シナリオの破綻以外の何物でもない。ラストも余韻を残してるのではなくただ「尻切れトンボ」なだけでした。是枝監督作品は「誰も知らない」「歩いても歩いても」がたいへん好きな作品だけに、とても残念だった。
○クヒオ大佐
実在した結婚詐欺師「クヒオ大佐」(日本人)をモデルにした作品。「そんなんで引っかかるかぁ〜?」と思うんだけど、実際にひっかかった女性がいるんだからしょうがない(笑)。満島ひかりと安藤サクラという今をときめく若手演技派女優二人のマッチアップも観どころ。
○白雪姫と鏡の女王
「アナ雪」は観てないんだけど、小学校高学年の女の子が観るならたぶんこっち。子供にとって映画なんてちょっと背伸びして観るものなんだからさあ。あの強い小人さんに出会うだけでも価値ありますよ。
○ワンダとダイヤと優しい奴ら
最初退屈なんだけど、途中から一気に面白くなります。
目撃者の老女殺したいんだけど、何回スナイプしても連れてるテリア犬ばっかり殺してるおバカがいましてね、そこがもうね、何回観ても笑っちゃう。
○スローなブギにしてくれ
山崎努、原田芳雄、室田日出雄、そしてヒロインは浅野温子。大好きな80年代カドカワ映画ってこともあり期待したんだけど…名優ふんだんにつかった浅野温子のプロモーション映画の感ぬぐえず。
○憑神
赤井英和はカツゼツ悪いなあ…
○ベスト・キッド
ガキの頃に観とけよと思いつつ初鑑賞。少年成長物語として楽しめましたが、ちょっと主人公女の子と上手いこといきすぎ。もっと叩きのめされてそこから立ち上がっていく姿をみたかった。
○チ・ン・ピ・ラ
「竜二」の金子正次のシナリオを元に、同じく「竜二」の川島透監督がメガホンを取った作品。「ホンモノ」に成りきれない(成りきらない)チンピラ二人の哀歓を柴田恭平とジョニー大倉が活き活きと演じていて「俺もこいつらといっしょにこんなノミ屋やりたい」と思ってしまう。あぁ、切なく終わるのか…いやいや(笑)
○スパルタカス
「シャイニング」は好きじゃないけど、これは堪能しました。キューブリック万歳。
○マネー・ピット
わはははは! ひっでぇ家だなぁオイ!
トム・ハンクスが若い! そして嫁さん役のシェリー・ロング、そんなに映画出てないみたいだけど、めちゃめちゃかわいくて上手い!
○太陽がいっぱい
ボクに画才があったらこの作品のいろんな場面を描いてみたい。本当にありとあらゆるいろんな場面を。
美しい風景や調度品、小道具の配置、色遣い、光の当て方、その中での俳優の撮り方、それらがきっと完璧なのです。
名「画」という意味では私情空前にして絶後の作品でしょう、きっと。
○ブラス!
最後、ちょっと甘かったなあ。あそこまでお国にケンカ売ったのなら、サッチャーの前でのご褒美演奏なんてケレン味あるラストでもよかったんじゃなかろうか。でもまあそこまでしちゃうとフィクションになりすぎかな。でもいい作品ですよこれ。
○ベスト・キッド(リメイクver)
本家よりこっちの方が好き。ジャッキー・チェンもいい味出してます。
主人公の年齢をより幼くしたのも功を奏しています。ただ「そんな子供に防具なしでどつきあいさせてええんかい?」という疑問は残るんですがね。そこだけクリアできたら「ボーイ・ミーツ・ガール」な作品として女性にも十分楽しめる作品に仕上がってると思います。
今回で特筆すべきはやっぱり「太陽がいっぱい」ですね。
皆様へ。とりわけ若い方々へ。
「太陽がいっぱい」をぜひ!
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<後からナマイキ感想その?>
「桐島、部活やめるってよ」
4点(?作品力2.5 ?余韻力1 ?再鑑賞魅力0.5)
近年、邦画界の話題をさらった「桐島、部活やめるってよ」ですが、わたしの評価としてはそれほど高いものではありません。
もちろん見るべきところはありました。特に同一日時をいろいろなキャラクターの視点から捉えるという始まりの手法はなかなか斬新で作品世界に引き込まれていきます。
だがしかし、引き込まれはするがどっぷり浸かりきることはできない。それは何故か。答えは簡単「主人公が美男子すぎる」んです。
この作品は高校という幼い狭い世界の中での「持てる者、持たざる者」を描いた作品なわけです。で、その持てる者の代表が勉強も運動もできて女の子にもモテモテの桐島くん。逆に持たざる者の代表が映画オタクで気弱な前田くん。前田くんは当然女の子になんか縁のない設定。で、その前田くんを演じてるのが神木隆之介くん。神木、隆之介くん。神木、隆之介、くん・・・・・・・・・・・・。
神木くんが女の子にもてない設定って、それ、無理ありまっせ! 想像してみてくださいよ、神木くんみたいな男の子が学校にいてですよ、仮に気弱な映画オタクだったとしてもですよ、彼が女子からワーキャー言われないなんてことあり得ます? 彼がパンツかぶって登校するのが好きとかの変態少年か、その年でけっこうな犯罪歴の一つ二つ背負ってる犯罪少年でもないかぎり「そんなヤツおらんやろぉ〜〜」ですよ。
もちろん映画ですから美男子、美少女を起用しなくちゃいけないことは分かる。これが恋愛ものとか、青春サクセスストーリーとかだったら神木隆之介主演でもちろんよかった。でもこの映画は「持たざる者の逆襲」をはっきり打ち出してるわけですよね。なのにその主演に神木隆之介はない。勉強もイマイチ運動もダメ女の子にも持てない、だけど映画だけが生きがいでそれだけは誰にも譲れなくって・・・というキャラを作りたいなら、「ああ、こいつアカンなぁ。アカンけど俺も高校のときそんなやったわ。昔の俺見てるみたいや・・・」って見た目で思わせてくれる役者使うべきだったはずなんです。そんな役者が前田くんを演じてくれてたら、「青春の逆襲者」を演じてくれたら、ラスト快哉を叫べてたかもしれないのです。
テーマと主人公役者のルックスの乖離。この一点においてこの作品は登場人物にも物語にも浸りきることはできませんでした。
もう一点、もっと乱暴な感想として「親の金でメシ食うとるガキどもが何を生意気なことばっかりほざいとるねん。一人で生まれて一人で大きなったんと違うんどっ!」という思いが残りましたね。これをクリアできる青春映画とできない青春映画があるのですが、この作品は残念ながら後者でした。