巴里、骸骨寺で
そらの珊瑚

あなたのみらいのために祈らせてください

そう語りかける女の瞳は
目の前の現実であるわたくしではなく
どこか遠い国を見ているようでした

ミライは
いつの間にか
ミイラにすり変わっていくのです
そうして
容易くわたくしは
まだ見ぬ
いつかは誰もが行く国へ
想像を巡らすのです

ゆるいカーヴに沿って
石畳の歩道が寄り添う乾いた街で
靴の細いヒールをひとつ
台無しにしてしまった頃
雑踏の中で見つけた寺
象牙色の頭蓋骨が
まるでインテリアのように
あちらこちら
壁という壁に
造花のような面持ちで
丁寧に飾られ
わたくしは途方にくれました
はたして あなたがどれなのか
とうてい探せ出せそうもないからでした




自由詩 巴里、骸骨寺で Copyright そらの珊瑚 2015-01-17 12:22:45
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