冬、はじめました。
阿ト理恵



はじけてる星屑を盗んできてよ。こんぺいとうじゃだまされない。みんなしてるみんなって、どこのみんななのか氏名住所を挙げてみなさい。わたしのわたしで描くわたしきり、とけないマシュマロを食べたら、冬がきてしまい、錆びた給水塔へのぼる、ただなまえをよびあうだけで、それだけで、不機嫌を改行できるのに、すれちがうことをおきざりにしていいから、ここにいるときはここだけのこと、逃げちゃだめ。異常なことがこれ以上どこにある。めくるめく夜をめくりすぎたので、ひとり、ことり、気づくろう月のカーヴをすべって、地球にポッキーぶったてる。なにかしらの残響、テロリスト、浮遊する、誰か、誰を、並べかえられた、ふゆ、ふゆ、みたことない気はみたことない気になるハネルを裏返す質問には必ずこたえなくちゃ、だから、さみしい冬にみつけたきみがすきなもののなかできみがいちばんすきなわたしは雪の匂いするきみの目にうつる同じ速さで渇いてゆくからだは違う速さにならされてさよならしたあとにふりかえるタイミングがいっしょだったら、またあした、わたしはきみのすきでいる。



初出 静岡新聞2014・12・23投稿欄、選者野村喜和夫氏



自由詩 冬、はじめました。 Copyright 阿ト理恵 2015-01-16 12:42:56
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