小林
北井戸 あや子

小林、と書き
こばやし、と読む
こりん、と呼ばれた可愛い昔
しょうりん、だけは辞めておけ
寺を足したら御法度だ

言ったが最後
寒空の下、原付に乗せられ
安酒を買わされる

彼は、こばやし
こばやし、だけに小囃子
面白可笑しく生きている
時にはその生き方さえも
ネタに走って死にかける

それでも笑って
帰ってくるね
散々に、かなしんでやろうと企んで
安酒を買ってきたのに

こばやし、お前みたいな奴は
ずっと笑っていてくれよ

嫌だね
そう舌を出して笑う

こばやし、お前がたくさんいたら
楽しすぎて、まともに死ねそうにないよ


自由詩 小林 Copyright 北井戸 あや子 2015-01-15 16:11:37
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