瞬くもの 呼ぶもの
木立 悟





虫と花を行き来する羽
雪に重なることなく降りつづき
ひとりの食卓に積もりゆく


線の笑みに埋もれる部屋
まばたきのはざまの火と光
冬からあふれる冬の息


五人の少女が
居たり居なかったりする
地に刺さる火柱
毎日つづく
おまつりの日


見えない服を何枚も着て
次々に次々に脱いでゆく
雪を掘る 雪を掘る
雪の他は何もないはずなのに
見えない服ばかり降りつづく


五という数字が
月蝕に似ているので
手はしばらく溶けてくれない
誰にも
顧みられない


緑の粉 金の粉
くちびるからずっとこぼれる羽
洞窟へ至る径をしめす
誰のものかわからぬかがやき


夜の空へ夜の空へ
五つの名前を呼んでいる
またたきは常に檻のように
想いの内と外を断つ


虹でできた針と糸
置き去りの武器に寄せる波
幾度も幾度も
迎えるはじまり


林檎のなかから冬を放ち
五枚の絵を雪に埋める
降りつづくものの震動が
どこも染めず
どこも染めず ただ
窓を紅くふちどってゆく
























自由詩 瞬くもの 呼ぶもの Copyright 木立 悟 2015-01-13 22:03:45
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