聖恋
オダ カズヒコ




悲しめば
きっとあなたを責めることになるでしょう

そう言ってあの日 
病院のベットの中で
疲れきっている
君を見ていた

たったひとつぶの
サクランボをわけあって
生きてゆけると思ったほど
愛していました

幾億もの夜が
流れているようでして
そこには幾億もの夜が
流れているようでして

いつもどこかで誰といても
何をしていても
君のことを考えているようになっていて

あなたを話すことが
自分と話すことが
新しいものになってゆくとしたら
ふたりはきっと未来をわかつでしょう
未来を持つことでしょう

何もかも見てやる
知ってやる
それだけが男の野心であり
穏やかであり
日当たりが良く
幸福と呼んでもかまわない
そんな瞬間の為だけに生きていて

そこにあなたがいて
言葉があり
キスがあり
バスタブの中に足を伸ばし

触れたい夜があって

ただそこにあなたがいて
僕がいて
たったそれだけのために世界が動いていて
忙しなく動いていて

ありがとうと
大声で叫びたくて
世界を
抱擁したくて
とてもありふれていて
そこに二人だけが都合良く居合わせていて
ちっとも変わってゆかないのは
過去だけで

それに動かされたくないと
思いたくないと
思うことがあり
そこで二人はいつも言葉を失い
立ち止まり
躊躇し
それでも二人ならなれるよ

混ぜ合わせれば
良いだけだもの

ただ混ぜ合わせれば
良いだけだもの
たったそれだけの
事だもの


自由詩 聖恋 Copyright オダ カズヒコ 2015-01-08 21:40:06
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