極楽102号室
オダ カズヒコ




極楽へ連れていってもらえるんですか?(゜゜;)

トカゲは待合室で女と並んで斑毛の猫を見た
薪ストーブで温まった部屋
いずれの客もカップルだ

トカゲはレザー貼りの黒いソファーに腰を掛けると
女の手を引き寄せ
一緒に座らせた

驚いた
何が?
猫が喋った
極楽だって…

トカゲは目を瞑った
女は世界の秘密について知らない
普通の女だ
トカゲは昼間はスーツをパリッと着こなし
部下を50人ほどかかえ
会社では次長などと呼ばれているが
本当は違う

ねえ
ちょっと
変な店に連れ込まないでよ
変な店ってナンだよっ ボケっ!(><;)/

”プレイルーム”と書かれてある個室の部屋がチラリと見えた

アソコが極楽の入口だ
中から女の嬌声が聴こえる

馬鹿言わないでよ
私帰るから
女の手を引っ張ると
トカゲはパチンっとビンタされる

ビンタされた拍子に眼鏡が飛んだ
眼鏡はくるくる回り壁にぶち当たった

突き当たりの右側の部屋です
斑毛の猫は言った

白い漆喰の壁
濃い
オイルスティン仕上げの梁
蔓草に埋もれているような湿った空気
プレイルーム102号室と書かれた扉

ここが極楽の入口か?
トカゲは女の手を強く握った

もう
後戻りは無理なの?
女は悲しげにトカゲの顔をのぞき込み
深く頷くトカゲの顔を凝視した

2時間の約束だったが
トカゲと女はラストまでその店でプレイを楽しみ
早朝の新御堂筋でタクシーをひろった

タクシーの後部座席に乗り込むと女は
トカゲの肩にもたれ掛かった
よかったワ(*^^*)
トカゲは女の横顔を抱き寄せた

そして渋い顔のまま
彼は
マルボロに火を点した

100円ライターが2度
カシャ
カシャっと
空転した音だけを残して…


自由詩 極楽102号室 Copyright オダ カズヒコ 2015-01-08 20:06:17
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