『本日に幕間はなく』(四行連詩)
乱太郎
おやすみとさようならが相槌を打つ
今日あったことは内緒にしよう
玉手箱にしまっておいて
一年後おはようとこんにちはに開けてもらおう
おはようとこんにちはがその計画を
未明のうちに知り甘いと慌てる
自分たちの手を汚すつもりはないと顔を見合わせ
昨日の一切を消滅させるべく海図を広げる
はじめましてとさようならが旅から帰り
すっかり静まり返った様子に驚く
港ではせわしく積まれていく怪しげな荷物
手を合わせたことのない者同士が目を合わせる
おやすみが辿り着くと無人の異時軸ドレスデンの夜
おはようとこんにちはが頷き合う
はじめましては射手としての時を知り
さようならを誘い貨物を疑わずに再び沖合いへ