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オダ カズヒコ
俺たちは宇宙人を抱え、国道2号線を横断していた。
見つかってはいけない。曽根崎署の前を通る場合は特に注意が必要だ。
王将の駐車場では、ノラ猫とヤンキーあがりのカップルに注意を払う必要がある。
そのへんのプライドは譲るわけにはいかないのだ。
ところで俺たちが宇宙人を抱え、
目つきの悪い連中を避けなければならない理由は3つあった。
一つ目は周知の通り宇宙人の取締りが厳しくなり、
マナーが問題視されている点がある。宇宙人といっても色々だ。短いのもいれば長いのもある。
俺たちの宇宙人は割りと長い目だった。長いからといって切れ。
などといった話はもう昔の事だろうと、失笑交じりに肩をすくめる大人もいるかもしれない。
とんでもない。
俺たちは用心のために宇宙人を半分に切ったのだ。
信じられるだろうか?俺たちは宇宙人を半分に切ったのだ。
国道2号線の路傍で、つなぎ目を上手く離すことに成功したのだ。
そのとき俺たちの中にはゲロとションベンを同時に漏らしたものさえいる。
とにかく俺たちは宇宙人のハラワタを国道脇に残し、
足をすくませながら曽根崎署の前を通り、王将の駐車場にやっと辿り着いたのだ。
神様ってスゲェーな、とだれかが言った。
俺たちの足元には半分になった宇宙人がぐったりと横たわっている。
神様よりニンゲンの方がスゴイよと誰かが言った。
確かに宇宙人を半分に切ってしまうなんてとんでもないことだ。
明るすぎる王将の窓ガラスの下で、
俺たちはマスクメロンみたいな顔をして、餃子とハラワタの匂いを嗅いでいた。
2つ目の理由はこうだ。宇宙人の人口が地球人の人口を超えてしまい、
我々の方がむしろマイノリティーになってしまうのではないか?
といった類の危惧である。そういえば最近妊娠している女の子を見かけなくなった。
俺たちの方がむしろ用心してゴムを使っているせいか?
あるいは逆にゴムを使っている宇宙人を見たことがないという説もある。
俺たちのうちの一人がつぶやくように言った。宇宙人の皮膚はゴムなんだ。
つまりゴムをぶち破って発射している。
だとしたら俺たちのソレは飛びの力の点ですでに劣っているケースが考えられる。
3つ目の話はもっとややこしいい。
俺たちも宇宙人なのではないか?という自己矛盾の問題だ。
王将の駐車場で俺たちは順番に宇宙人を蹴飛ばした。
安全靴(ミドリ安全?社製)を履いているマサヨシ(正義)の蹴りは宇宙人にとって決して安全ではない。
5回目と半分目の蹴りが入ったところへんで宇宙人はむっくりと上体を起こした。
半分に切れてはいるが宇宙人にとってそれは難しいことではなかった。
お前ら俺のこと、つまりなんだ?
生野菜かなんかだと思ってんだろ!(><。)/ブチキレタ宇宙人は更にもう半分になり、
つまり元の長さの4分の1になり、
逆切れするたびに短くなっていくのを俺たちは蒼ざめた顔で立ち尽くし見つめる他無かった。
それはまるで毎年8月6日に日本人がヒロシマという一つの言葉の前に頭を垂れ、
エノラ・ゲイとリトルボーイの切り離しを悼む姿に似ていた。