神の誕生1お天道様
イナエ
子どもの頃
お天道様は何時もぼくの行為を
見張っていた
そして
お天道様は意地悪だった
自転車の二人乗りをしていると
石ころを置いて ハンドルを揺らし
転倒させるのだ
倒れながらちらり見た空には
お天道様の明るい顔
熟した隣の庭の柿
手を伸ばしもぎとったそのとき
頭にかかる糞
見上げればお天道様がいた
はじめて取った 数学の満点
答案用紙を手に
踊る陰を踏みながら帰った日
お天道様が後ろ着いてきた
やがて
お天道様は
ぼくの中に住み着き
ぼくのすることを
吟味するようになったのだ