2014の残骸
梅昆布茶

僕はとどまりませんこの場所に
常に風化してさらさらと崩れて行く足元

時間というものが上下にあるいは前後に
はたまた螺旋状にきりきりと流れるものかなんて
ぜんぜん解らないのですから

空想のなかで跳ね回るうさぎを追いかけて
物を考えるひまもないのです

僕は戻りませんこの場所には
もう懐かしいものなんてありません

たとえあったとしても
懐かしいものの残骸

僕もつねに残骸になりつつ生きています

ただ総てのものに墓標を建てるわけにはいかないし
自分にも墓標を建てません

いつか業者に頼んでとびきり素敵な墓碑銘を
刻んでもらおうとおもっているのです

ひとはとつぜん陥没した足元に
断層を見いだし恐れ戦いたりもするもの

でも暗黒星雲のなかの微細な新しい星の種子を
おなじ視野の片隅に発見したりもするのでしょう

たとえ残された数秒であろうともまだその先を見つつ
朽ち果ててゆきたいともおもうのです

そう未来は自分のなかにきちんとある
それが死を意味するものであろうとも気にするほどのものでもない
あたりまえに迎えればいいのかもしれません

また年をかさねて世界の全体像も覚知できないでいます
しあわせであろうとなかろうと馬鹿さ加減には関係ありませんが

またひとつ次の課題をかかえるために
年を迎えるのでしょう

みなさま方の良いお年を
願ってやまない大晦日の科白でありました











自由詩 2014の残骸 Copyright 梅昆布茶 2014-12-31 10:20:46
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