猫撫で
やまうちあつし

読書をしていると
知らないうちに
黒猫が膝の上に
男は一瞬たじろぐが
撫でてみると大人しくしている
そのうちに猫の毛並みは変化しはじめ
白い猫へと変わる
白猫はひょいとテーブルに飛び移り
身を躍らせて戸棚のうえへ
白い猫なら心配ないと
男は書物に目を落とす
知らないだろう
男の背後で白猫は
一足ごとに体をふくらませ
黒ヒョウの姿に
音も立てずにリビングを
我が物顔でうろついている
やがて男は背伸びをし
猫でもかまって休もうと
書物をとじて振り返る


自由詩 猫撫で Copyright やまうちあつし 2014-12-31 10:13:17
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