ふたりきり
弓夜
わたしくやしかった
おもしろくなかった
おとうとばかりかわいがって
おかあさんもおとうさんも!
なにさ!
とくにおかあさん
おかあさんはおとうとのほうが
かわいいんでしょ
ふん!
もうしらない!
さみしかった…
がまんすれば
いいこっていわれるから
がまんした
そうすれば
おとうさんもおかあさんも
わたしのこと
もっとかわいがってくれるから
そんな私が今も少し私のなかに残っている
けれど自分が母になってみて
ああわたしは
おかあさんとふたりきりのときを
いっぱいいっぱい過ごしたんだ…
おとうさんもおかあさんも
わたしだけをいっぱい抱っこしていたんだ…
そう気付いた
ふたりきりだったんだ