ボイド
衣 ミコ


双極に引き寄せられ
反発する
小さな砂鉄粒たち
私たちの紡ぐ言葉が
こんなにもありふれてしまうのは
あなたと私が
魂の目になって
互いを見つめ始めたから

最後に覚えているのは
鯨の腹の中
薄れゆく意識を世界に繋いだ
次に覚えているのは
カモメの群れの中
黒い帽子を被った人々が
私たちを見上げて
眩しそうに手を振った

(私たちの均等に分けた3つの魂が
身体を善く治めないのだとしたら)

あなたを見ている
私を見ている
どちらが欠けても
壊れてしまう世界で
美醜について
考えなおして


自由詩 ボイド Copyright 衣 ミコ 2014-12-30 08:36:10
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