エクソダス
梅昆布茶
いつもおもってた
脱出しようかと
ちいさな小舟を手に入れたら
天候をみはからいながら
島伝いにたどって行こう
風を感じ雲の流れにのって
星が堕ちてゆくところまで
落雷のように明滅する瞬間を縫って
ただ在るもののかたちに逢いに行くのだ
いまさら自分をさがすわけでもない
懐かしい廃屋のひそやかさを
モルフォ蝶が水と日陰をもとめて息む昼下がりに
自分の中の喧騒を消し去りたいとおもうだけなのだ
死ぬわけでもない生きるわけでもない
中庸がかたちをとるならばあるいは
道の真ん中にある紅いポストのように
ただ佇んでいるに違いない
いのちを繋ぐものに巡り逢いにゆく旅が
何処へたどりつくのか確かめたいのだ
部屋の片隅にある
ヴィンテージギターを
風が鳴らす
きみが小さく日常に舌打ちをする
まあいいさほっとけばいいんだ
いつもおもってる
この素敵な世界から踏み出すために
あの使い慣れた靴を
捨てなければならないのかと
新しいスニーカーの紐を編み上げるたびに
僕の世界がリセットされるように
僕は新しい島を目指すのだろう
そうさ
風がさししめすままに
僕は何かを解体しながら
いきてゆくのだろう