travel
mizunomadoka
旅の二日目。波止場で追い剥ぎに遭い
荷物をすべて失う。
迷って左を選んだのが致命的だった。
彼らはズボンとシャツを投げてよこし
(下着は返してくれなかった)
生きたければここに行け、と紙切れをくれた。
私は礼を言い、彼らが見えなくなると
反対方向に歩き出した。
警察にお決まりの被害届を出し
一文も持っていないことを相談すると
追い剥ぎと同じメモをくれた。
シェルターでシャワーを浴びると
生き返ったような気持ちになる。
食事も美味かった。
救世軍の衣類箱をバーゲンの
主婦のごとく漁りまわって
シャツ、パーカー、ジーンズ、コート、
それにバッグと寝袋も手に入れた。
16人部屋の二段ベッドは
あの船室よりずっと快適で
下のラジオを聴きながら
深い眠りに落ちた。
旅の三日目。町の地図をもらって
仕事探しを始める。
衣食の心配は解決しても
無一文では心許ない。
警察にも寄ってみたが進展はなし。
旅の四日目。仕事探し。
教会掃除のボランティアに参加すると
沢山のキャンディーがもらえるらしい。
五日目。豪雨で外出できず。
ゴミ袋を被って出かける猛者もいたが
大半はリビングで過ごしている。
白髭の教授にチェスで挑むも勝てず・・
*傘の本数に限りあり
六日目。次の月曜から
モールのベーカリーで働くことになった。
ハポネのパティシエールだと
嘘をついたが、まあなんとかなるだろう。
メリークリスマス!
*図書館でパン作りの本を探すこと
あとチェスの書も忘れずに