わたしがいない
ユッカ

はじめて楽器をつくったひとは
どんなきもちがしただろうかと思うの
ピアノを聴いてもバイオリンを聴いても
うつくしいほどくやしいから

月を歩いてみたかったし
神話だってつくりたかった
わたしがね

国道を自転車で走っても
粘土でコップをつくっても
わたしがいない
そこにいることができなくて透きとおる
朝日を見ていた
いつも
水色の時間に

はやくおばあちゃんになりたいのに
あたらしい物語になろうとしている
わたしはタイムマシンがあっても
きっとどこにも行かないで
明日も明治のチョコを食べ
すこし湿った息を吐く
それをつじつまがあわないって
言わないでよね
わかるでしょ


自由詩 わたしがいない Copyright ユッカ 2014-12-22 01:40:20
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