タイムカプセル
keigo
冬空のした
光と遊ぶ子供たち
ベンチには杖をついた老婆がひとり咳払い
あどけなさの残る主婦が
砂場の縁で公園デビュー
この場所はもう古い
ブランコは規則正しくきしみ
ジャングルジムの塗装は剥げ
ところどころで
時代がむき出しになっている
それでも
耳を澄ませば聞こえてくるのは
今も昔も変わらない
普遍にも似たもの
ブランコの隣の日溜まりが温かい
砂場で城を作ってたらポケモンが出てきた
ほらこうやるんだと逆上がりの練習
なぜか覚えたての九九を言い出すあの子
こっそり便所にかけこむあいつ
ジャンケンポンと達也の勝ち
でも負けるが勝ちと勇治
喧嘩しちゃダメと宏子
手を繋いで
ジュースをせがむ
だめよ我慢なさいと母は言い
ほら危ないとジャングルジムを見上げ
空を背景に弾ける我が子の笑顔に少し安堵
公園デビューは無事成功
胸のモヤモヤは消え
今日の献立を考える
たまには贅沢しましょうと徐に老婆が言う
隣に座った伴侶が浮かべた笑みは永遠
そうだなとステーキショップの割引券
年寄りも肉を食った方がいいと
みのなんとか
さあみんな帰ろう
それぞれの居場所へ
つるべ落としを合図にして
また会えるといいね
ーねえどおして、未来は新しいのに
僕らは古くなって行くの?
続きはまた明日ー
お知らせ
国土交通省
株式会社⚪商事
12月31日を以て公園は閉鎖されます。
あしからずご了承ください