銀麗
高原漣

すっかり冷たくなった手に息をふきかける

霜の降りた道路をあるいてゆく

昼間だというのにとても日は低くて

息は白く 凪いだ空へとたち昇る

凍て空を見上げてみる

ひこうき雲を曳いた爆撃機が

いつものように西へ飛ぶ

空の果てる山へ

あの山脈へ

この世のかなたをめざして

銀翼を連ねて

鳥たちは

だれのために死ににいくのだろう

『とりはふゆにしのはじで生をとじる』

ぼくは 乱数表をそっとコートのポケットから取り出して

低い日光のなかを歩いてゆく

年老いたこの町の砂利をふみしめながら


自由詩 銀麗 Copyright 高原漣 2014-12-19 01:45:18
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