タクトと拍手
砂木

毎年恒例となりつつある
甥のいる楽団の定期演奏会に行く
残業を断って 実家の母を乗せて行く
年に一度の演奏会だ
最初から見せたい 見たかった

クラッシックなどよくわからないけど
歌謡曲のメドレーやくじ引きでのプレゼント
今年は甥のデュエットの歌も聴けて大満足
一生懸命 拍手をした
すると指揮者が客席を振向き 曲にあわせて
観客の私たちにも手振り身振りで
拍手を小さくとか大きくとか笑顔で指示をだす
つられて自然に拍手を大きくしたり小さくしたり
なんだか楽団員の一人になったような気分で
一緒に音楽を作っているような気持ちになって

本当はうまくいかない仕事やいろんな事
落ち込みも半端じゃなかったけれど
音楽の中に入り音楽として生まれる高揚感に
いつしか生きてく力が満ち満ちてきた

生きるのはつらい
つらいけどある音楽は力
沈黙に生きる事も音のひとつ
たとえ 消え行く音だとしても

大拍手に つつまれた会場
知らず知らずのうちに 交換しているエール
また歩いて行くエネルギーを呼び覚ました


自由詩 タクトと拍手 Copyright 砂木 2014-12-14 11:10:18
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