SISAKU
nonya
何かが見えたような気になる
*
空は空の色
水は水の色
あの花はあの花の色
その人はその人の色
青と透明と赤と頑固者
決めてしまえば
安心だし便利だ
でもそうは思わない
絶滅危惧種もいる
素敵に歪んだ水晶体をもった
天の邪鬼もいる
*
出口から入って入口から出ようとする
*
一行にすればただのデータでしかない
それっぽく見せるために
改行する
行間をつくる
「枯木立の」と「指先が」の行間に
思わせぶりの季節風を吹かせる
「青を」と「掴み損ねる」の行間に
これ見よがしの白い息を漂わせる
二行あけた隙間に風花を舞わせてから
「冬の午後」
分かるなんて嘘だよね?
*
見えるのは始まりと終わり
*
簡単な事を簡単に書くのは
無難
難しい事を難しく書くのは
無理
簡単な事を難しく書くのは
無粋
難しいことを簡単に書くのは
無茶
無茶苦茶に試作を散らかしても
詩作は終わらない
悶絶しながら
アドレナリンを垂れ流す
*
思索するには不向きな
カボチャ頭を上手く調理するには
スパイスは入れ過ぎないように
正体が無くなるほど煮詰めても駄目
やっぱり
面倒臭い