SISAKU
nonya


何かが見えたような気になる



空は空の色
水は水の色
あの花はあの花の色
その人はその人の色

青と透明と赤と頑固者
決めてしまえば
安心だし便利だ

でもそうは思わない
絶滅危惧種もいる

素敵に歪んだ水晶体をもった
天の邪鬼もいる



出口から入って入口から出ようとする



一行にすればただのデータでしかない
それっぽく見せるために
改行する
行間をつくる

「枯木立の」と「指先が」の行間に
思わせぶりの季節風を吹かせる

「青を」と「掴み損ねる」の行間に
これ見よがしの白い息を漂わせる

二行あけた隙間に風花を舞わせてから
「冬の午後」

分かるなんて嘘だよね?



見えるのは始まりと終わり



簡単な事を簡単に書くのは
無難

難しい事を難しく書くのは
無理

簡単な事を難しく書くのは
無粋

難しいことを簡単に書くのは
無茶

無茶苦茶に試作を散らかしても
詩作は終わらない

悶絶しながら
アドレナリンを垂れ流す



思索するには不向きな
カボチャ頭を上手く調理するには
スパイスは入れ過ぎないように
正体が無くなるほど煮詰めても駄目

やっぱり
面倒臭い





自由詩 SISAKU Copyright nonya 2014-12-11 18:24:26
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