いのちともしび
瑞海



砂漠の中
真白のシェルターに
二人は震えて いた

彼女彼らは
命を生む仕事を任された

彼の血で種ができ
彼女の涙が水となる

殺伐とした砂漠に
一枚の葉がしっかりと生きた
青々とした葉が

しかし彼は震え出す
命を生むことは命を削る
ゼロから何かを作ること


彼女は砂漠でわんわん泣いた


いつこの力も弱くなっていくか
いつ自分たちの代わりができるか
分かっている はずなんだけど
君が泣くと 受け止められない
なんて辛いんだ
でも
僕たちが砂になっても
君と僕はずうっと一緒だ


そう決めた彼は
一つの葉に実った
一つの果実を
一口食べて 彼女に分けて
月照らす砂漠を
手をつないでふたり歩いて
真白のシェルターに入って
ずっと眠った
彼女もそれに寄り添い
ずっと眠った

ゆれる
ひは 僕らをのんだ



自由詩 いのちともしび Copyright 瑞海 2014-12-09 19:28:05
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