国道沿い
ドクダミ五十号

環状じゃない国道を
旅は若い私の
それは始まった

日光詣でだよ
特に意味は無い

一万円でどこまで行けるか
下らない賭けだった

アメリカの様な宿泊施設は無い
其の代わり食堂がある

なまり丸出しのおばちゃん
今日は美味しい鯖があるよと言う
定食ならば納豆も付いて三百円
豚汁にすれば百円増し

俺は勝ったと思った
国道をトライアルバイクで
飾り物のシートで
尻は痛かったが

日光に着いて
その深夜に
駅のベンチで寝ようとしたら
おばあさまがこれを食べてと
ネギを
タクシーの運転手さんが日本酒を
駅員さんが卵を

四十リットルのザックから
ガソリンを燃料とする
GIストーブを取り出し
調理

硬いベンチだったが
温かいと感じたのは
何も寝袋と
何も満腹が
理由ではなかったと思うよ

人情って言葉が死語になる
国道沿いにある山田うどんのおかあさん
ドライブインの女将
其の人の事を忘れない事で
命を粗末にしない事で
人情と言う言葉が死語になるのを
阻止出来る気がする

もちろんこうして書く事も


自由詩 国道沿い Copyright ドクダミ五十号 2014-12-09 08:30:02
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