悲しみのエチュード
ヒヤシンス

家族の中にあって孤独を感じる魂が木の十字架のある教会に飛んでゆく。
縁も由もないこの教会に慰めを求める気持ちは分からない。
消えてしまいたい。
愛したはずの人達が頭の中を駆け巡り、記憶の糸は縺れるばかりだ。

薄れゆく感受性は全てを灰色に見せようとする。
あらゆる現象の中に生への輝きを見つけると私は失望する。
自分の弱さを殺したい。
現実を受け入れ、ひらめく思考に新たな気付きが必要だ。

 
祈りを捧げるエネルギーをこの胸に。
祈りを捧げるエネルギーはこの胸に。
色鮮やかな祈りは私自身から生まれる。

悲しみに包まれた教会に賛美歌が流れる。
祈りは木の十字架に吸い込まれ、自分を許せと言う。
ステンドグラスからの光が淡く魂を撫でる。


自由詩 悲しみのエチュード Copyright ヒヤシンス 2014-12-07 01:18:33
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