香水と煙草
為平 澪

見つめ合う 香水と煙草

出会いと出会いが通過していく、お互いの横目で
記憶を垣間見る 痕

口紅では 押し付けがましい
ネクタイでは 束縛し過ぎる

灰色の街を 太陽が落ちて焦がした 焼け跡を
覚めた夜が呼び止める

香水が煙草を脱がして 火を灯す
踊る匂いが 一瞬にして 千億のシャッターを切り
マルボロの強さで 引き寄せたまま風に乗る

私の足元に 香水の空きビンと煙草の汚れた灰皿
空き箱になった暗室で 秘密だけが たちこめる



自由詩 香水と煙草 Copyright 為平 澪 2014-12-05 21:23:44
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