星石のこえ
クロヱ
ある夜 それはそれは窓の会話がひどくうるさい夜に
乱暴な風に乗り なにかが天井から落ちてきたようだった
パーンと心地の良い音を鳴らし 森丘の低い頂上にやってきた
あたりは靄がかかるように 焦げ臭い気がした
鼻歌交じりに駆けて行くと
円があり その中心に丸いものがいた
初めて見たその物体に (しかし内心では再会の気分だった)
心底 興奮をしていたので 一目散に近くに翔けて行った
「やあ! こんばんは!」
遠くを見やる彼の興味を引こうと 大声を出した
「きっと こんな夜だったよ」
彼は 口も動かさず言った
「えっ なにがだい?」
呆気に取られ あたしは至極当然な質問を投げてしまった
「こんな夜だった」
今度は 背を向けて言い放った
あたしが 二度目の質問をしようとしていると
彼は光の渦となって 空に吸い込まれていった
天井を見上げて 目を凝らし 探し物をしている
そんなあたしが映る 小さな川のほとりがあることに気付いた
小川にも 天井が映り 綺麗な光の転々がコツコツしていた
さすがに上も下も探すのは難しいと思い ふうと溜め息をついた
仕方なく 遠い昔に彼が落ちた場所
そこにある綺麗な石を小瓶に詰め 帰ることにした
帰りの道も あたしは鼻歌を唄っていた