波とオコジョ
藤鈴呼



添い寝する ぬいぐるみが
生きているような 気がしていた
少女時代

今じゃ この熟語で 
足の長い女性達が 浮かぶように
印象は 変わる

あんなに 可愛らしかった兎が
タオルの如く ごわごわになり
首にまいた マフラーと 同位置で
微笑んで居る

それでも 巻き付いたキツネは
離れない
未だ 化かして いないからね
馬鹿にした風が 吹き抜ける町

狸のような太鼓が ポンポン響く
余計な贅肉ばかりを蓄えた腹を撫で
その手で頭まで何故撫ぜる

気持ち悪いと三歩下がって散歩して
くるり踵を返す途中で蟻に出会った
巣穴まで あと 何軒ですか
それは 難件なのでしょうかと
気になって 仕方無いのです

こんなにも欲した 動物の森で
刺身の盛り合わせに 舌鼓を打っている
ねえ あと なんぼの波を越えたら
青空が 見えるんですかい?
呑気な声で オコジョが 呟いた

その姿すら 飛沫と混ざり込み
良くは 見えないの
声だけを 便りに
あと どのくらい歩いたら
辿り着くのでしょうね
夢の 小島に

小皺ばかりが 増えるような 気がしてね
細い毛先を 弄ぶように
暇つぶしグッズを 探してる
車窓から見える風景は いつだって違うのに
どうして 飽きてしまうのかが 分からない

同じ 人間なのに
こうも 言うことが 統一されてしまうと
面白味が 無いんですよ
調味料と 一緒でね
たまには スパイス 入れないと
辛くったって 苦くったって 甘くったって
旨味には そりゃあもう 遠いんです

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自由詩 波とオコジョ Copyright 藤鈴呼 2014-12-03 15:54:55
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