命に音を刺す
かの
うーん、と
背伸びをした
うなった、のも
少しだけあった
ふわふわしたものは
予想外に予想以上に転がっているから
わたしは口を大きくあけて
酸素がほしくて
どろどろしたものが
意外と地を覆っていたから
こどもは外を歩けなくて
お母さんのお腹へ帰っていった
そこに降り刺さる
雨
の音
血を這って
昇ってくる
感覚
パソコンの中でさえ
やけに小さく見えるのは
わたしには
わたししか
見えなかったから
やっぱりどうやっても
そこで、うーんと、うなるわけさ
どこもかしこも
思ったよりはキラキラしていて
それが肌に合わなくて
赤くなったりして
腫れたりして
そうやって
古くなって
そして
やっぱりわたしにはわたししか見えなくて
だからわたしは懸命にわたしで
やっぱりあの子のことはわからなくて
だからあの子は懸命にあの子で
ガムを
何度も
噛んでは
出して
噛んでは
出して
聞こえる音がわたしを刺す