畏敬する詩人達へ
梅昆布茶

無から生まれた訳ではない
原因があって生を得て
所在もない風来坊だが
ひなたぼっこの猫とあそんで暮らす

世界が仏頂面の上司だけで
構成されている訳でもないので
とりあえず仕事は好きだ

世の中が貨幣で交換されるような価値の
やりとりだけでは成り立っていないとの
蒙昧なおやじなりの
認識をけっこう大切にしている

死んでみないとわからないものを
恐れてもしょうがないが
それでも大胆不敵にも生きられない小心者
せめて息子達にはもう迷惑かけまいと
ちいさな保険なんてかけていたりする

木の股からうまれたのではない
木の葉の精に祝福されている訳でもない

或は死に支配されないすべを
愛に拘束されない在り方を

そういったことを婉曲に表現できる詩人たちを
尊敬してやまない自分なのです

そういった人たちのちょっと妖しい語感や創語
想語やすべての襞に隠れている含意を

解るほど教養を積んでおけばよかったのですが
でもこれから努力しようかとも想っているのです

だって良い詩人を阻止するのは
けっこう難しいかとおもいますから
せめてその言葉のちからに加担しようかと

良い詩人
折り合いの悪かった両親
似たようなものです

だって時々頭をぶんなぐって回心を強要する
ちからがあるんだもの

でも彼らがやはり一番好きであろうと
乱雑かつ静謐な
冷酷で愛に充ちた

羽根をもたない
天使達かもしれないなんて
誤解してしまうこと
そういった自由をせめて許して欲しいと
おもうことを

その許しを
誰かに乞いたいと想うほどなのだ

おやじも韻を踏む季節
詩人たちの尻尾に触れたような
気がするやわらかな夜に
そんなことをおもう



















自由詩 畏敬する詩人達へ Copyright 梅昆布茶 2014-12-01 12:55:48
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