ばけもの
凛々椿

まだら模様のその生物は
実はとんでもない起爆装置なんだ
体を直角に反り
顔をこちらに向け
目を合わせた人を爆発物に変えてしまう
その姿を思い出すだけでも小さな爆発を繰り返して
体にどんどん穴が開いていくんだ
ひどいときには死んでしまうし見知らぬ人をも巻き込んでしまう
とてもおそろしい生物だよ
まだら模様は絶滅危惧種で
奇妙な容姿は見世物にふさわしい
誰もがおもしろがって仮想世界上に画像を投稿したがるんだけど
ある日
大切な友だちがまだら模様を公開したんだ
きのう友だちがコレと目を合わせちゃったんだってさ
こわいね気をつけようね
って
(笑)
なんて書いちゃってて
僕は退屈な満員列車でいつものように仮想世界を覗き込んでた
ぷつ
ぷつん
まるで縫い糸が切れるように
ぷつん
ぷつ
鳴って

そして僕は大爆発を起こしたんだ気づいたら売女になってたよ
笑っちゃうよね!
そんでもって つぎはぎに塗ってもらった唇で
赤毛のロングヘアを噛み噛みしながら
ぶらーんぶらさげた両目でひとりずつやっつけてるんだー
逃げる首根っこをひっつかんで
もぬけの胴体でね
腕だけはしゃかしゃか動くもんだからみんなけっこう笑うんだよ
突然泣き出すけど
そのたびに思うよああなんていうか
平和だな ってね


自由詩 ばけもの Copyright 凛々椿 2014-11-27 23:35:55
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