アリクイのアリバイ
やまうちあつし

夜の公園を歩く二人は
茂みのむこうに一匹の
アリクイがうろついているのを見つけた
なぜ、こんなところに
動物園から抜け出したのか
それともどこかで飼っていたのか
あるいは皆が知らないだけで
実は野生のアリクイが
ここらに生息しているのだろうか
「警察に届けましょう」
一人は言うが
「もう少し見ていよう」
一人が制止する
そんな二人のやりとりを
後方の茂みの奥から
別のアリクイがじっと見ている
月の光に照らされた
十数分の事件簿である


自由詩 アリクイのアリバイ Copyright やまうちあつし 2014-11-25 13:14:15
notebook Home 戻る