textrock
大覚アキラ
ドラッグは要らない
タバコとビールで十分だよ
セックスもほどほどでいい
だけどさ
ロックなんだ
誰が何といおうと
これはロックだ
おれのロックだ
たとえありふれた言葉でも
どんなに使い古された言葉でも
おれにしか
できないやり方
そんなロック
便宜上
詩人を名乗らせてもらうけれど
詩人であるおれがつくりだすものが
別に詩でも
詩じゃなくても
全然構わない
おれの頭の中にある景色と
おれの頭の中にある音楽が
言葉に変換されて
アンタの頭でリプレイされる
そういうトリック
そういう仕掛け
そういう魔法
それがロック
そう
ロックはスイッチだ
イメージをオンにするスイッチ
感情を
気分を
状況を
一発で変換するスイッチ
ロックは世界を変えるスイッチだ
スイッチオン
さてそれではそろそろ
詩について語ろうか
やめとけよ
そんな馬鹿げたこと
詩について語るなんて
詩について語る詩人に死を
死について語る詩人に死を
おれはもう
これから先
二度と
詩について語らないことにしよう
いや
たまには酔っ払って語ることも
ある
かも
おや
スイッチが入ってないじゃないか
再びスイッチオン
おれのロック
アンタのロック
あいつのロック
彼のロック
彼女のロック
我らのロック
何よりも大切なのは
定義しないこと
定義は枠組みを作り
枠組みはやがて柵になり
柵はそのうち檻になり
檻はいつしか高い壁となり
世界はそうやって閉じられていく
意味を
価値を
概念を
破壊することこそがロックだ
なんて熱くなるなよ
カワイイけど頭悪いなアンタ
おれは
意味を
価値を
概念を
そういう重たいアクセサリーを
ジャラジャラさせながら
軽やかにステップ踏んで見せてあげるよ
さあ
もう一度
スイッチをオンに