安全地帯の変死体
ただのみきや

うるむゆきのはざま
ぬれ落ち葉にそっと載せた瞳の過食
遠く翳る今を汲む オト ノ
のたうつ沈黙
噛み締められた貧困が小走りで吹き渡る
さざなみのような オト ヘ
欹てては刎ねられたこの両耳を手向けよう
サクシュスルモノサレルモノ
縫い合わされた翼の中で震える血袋
錆びたイデオロギーの小刀による 
玉虫色の割礼痕の疼き
真夏に滾る夢を上手く鎮火して
文脈をわきまえた無害な小悪党となる
飽食の飢餓に狂った子供たちは
互いに噛み合いまた己を噛む蝗それが
時代がこじ開けた解答だと言うのなら
堕落しても腐敗を許さない
冬の懐に仕舞われて
ひとつの死(あるいは詩)の公式が
晴天下の雲雀の囀りと落下のように
証明を終えるだろう
廃止されない奴隷制度が
わたしの目からわたしを覗く
とめどなく熱を奪う
ゆきはましろな万人への告訴状
肥えた舌は焼かれ餅のように膨らみ爆ぜよ
打て! 
   撃て! 
      討て! 
わが欲望の透明な臨界 
満開の奢りの中で
不在という概念と刺し違えてほどけ去れ
この有罪こそ救済




        《安全地帯の変死体:2014年11月13日》








自由詩 安全地帯の変死体 Copyright ただのみきや 2014-11-22 15:26:04
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