ぼくはもうだめだ(サーキット・オンサイド)
竜門勇気


二十歳を過ぎてしばらく経って
飽きるまで好きなことを考えていようと思った
ギターに飽きた
漫画に飽きた
アニメに飽きた
食事に飽きた

二十代が暴力の痛みのように過ぎゆく中で
飽きるまでと決めて好きなことを考え続けた
人に飽きた
酒に飽きた
憎しみに飽きた
君にも飽きた

完全な結果を求めるあまり
不健康が加速していく
この時間は何だったんだ
気持ちよさの前借りだったのか

それでも
三十を過ぎて前借りは続く
ギターが好きになり
漫画が面白くて
アニメも見るし
飯も人並みには食う
何にも変わってないのか
飽きるのに飽きたのか

サーキットで何度も同じ奴に抜かされて
それでも走るボロい心臓
飽きたまま消えない
君の声は
僕にとって何なのか答えは見つからない
多分もう二度と聞かないままチェッカーフラッグを待つハメになる
恐らくそのフラッグがふられる時
唯一持ってる宝物のように思う


自由詩 ぼくはもうだめだ(サーキット・オンサイド) Copyright 竜門勇気 2014-11-22 03:01:41
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